歯周病治療とは
歯周病は歯肉が歯に接す付近に存在するバイオフィルムが原因で進行します。
その影響で歯周組織の炎症が進行し出血することによりそれを栄養に益々バイオフィルム内の歯周病菌が増殖しバイオフィルムの病原性が本格的に進行します(それをMicrobial Shiftと言います)。
その負の連鎖を断ち切ることを目標に患者様独自の治療計画を立てていきます。 そして患者様と医療人が同じレベルで病状を把握し共に取り組むことを目標としています。
それでは、先ず歯周病が悪化する原因から考えて行きたいと思います。
歯周病のリスクファクター
細菌因子
- レッドコンプレックス
(Pg菌 Tf菌 Td菌 歯肉で最も悪いことをする菌です。) - Filifactor Alocis
(酪酸を産生する糖分解性グラム陽性桿菌の集まりです) - バイオフィルムのMicrobial shift
(バイオフィルムとは排水溝にできるぬめりと同じようなものです。これを放っておくことによりますます分厚くなり口の中で菌が住みやすい場所となる事です。)
環境因子
- 喫煙
・ 歯周炎に対する最大のリスクファクター。
・ 喫煙者は非喫煙者に対して2~8倍歯周炎に罹患しやすい。
・ 歯周治療の反応も悪い。
・ 外科処置を行う場合にも治癒がスムーズに得られず、歯肉弁の裂開などが高頻度でおこる。 - ストレス ・ パラファンクションを誘発させ咬合性外傷を引き起こす。
- 常用薬
・ 歯肉増殖症を引き起こす降圧剤、抗てんかん薬、免疫抑制剤
・ ステロイドの長期投与
・ BP製剤
宿主因子
- 局所因子(プラークリテンションファクター)
・ 歯石、歯列不正、不良補綴物、歯の形態異常、歯肉歯槽粘膜異常 - 全身性修飾因子
・ 遺伝
・ 年齢、性別
・ 全身疾患
(糖尿病、心疾患、脳血管障害、リウマチ、腎疾患、骨粗鬆症)
・ メタボリックシンドローム
咬合因子
- 動物実験では、咬合の不調和だけで歯周炎が発症したり進行することはなく、適切なプラークコントロールのもとで細菌感染がなければ、外傷性咬合によってアタッチメントロスはおこらないことが証明されています。
- しかし、咬合性外傷によって歯周炎の悪化の経過をたどります。
咬合性外傷への対策
- パラファンクションなどの悪習癖の管理・改善
- 早期接触や偏心運動時の干渉に対する咬合調整
- 暫間固定、必要であれば永久固定
- 咬合再構成
- 矯正治療
歯科衛生士による専門的口腔ケア
歯周病は、プラークと呼ばれる細菌の塊が歯に付着し、進行する病気です。
プラークは次第に歯石やバイオフィルムとして固まり、これらは歯磨きだけでは十分に取り除けません。
歯石やバイオフィルムを除去するには、専門的な器械を使った歯科医院での治療が必要です。
SRP(スケーリング・ルートプレーニング)
スケーリング
歯冠および歯根面からプラーク、歯石、着色を除去する器具操作。
ルートプレーニング
粗造で歯石の入り込んだあるいは毒素や細菌で汚染されたセメント質や象牙質表面の除去。
歯周外科処置前のSRPの効果
- 炎症が軽減する(手術時の出血が少ない)
- 麻酔の効果が持続する
- 歯肉が抵抗性の強い線維性の組織となる
- 炎症性の組織が少なくなるため治癒が早い
- 感染の機会が少なくなる
- 歯周外科の必要性がなくなる可能性が出てくる
PMTC(プロフェッショナル・モデル・ティース・クリーニング)
PMTCは、歯科医院で歯科衛生士が行う専門的な歯石除去や歯のクリーニングのことです。
細菌は次第にバイオフィルムという集合体を形成します。
いったん出来てしまったバイオフィルムは歯磨きだけでは除去することが出来ません。
PMTCは、超音波スケーラーや手用スケーラーを使って歯石を取り除きます。
その後、専用のペーストやポリッシング材を使って歯を磨きます。
ふだんの歯磨きでは取りきれない歯の汚れを落とし、本来の白く輝く色に導きます。
口臭や虫歯、歯周病予防の効果にもつながります。
歯周外科治療
- 浅い歯肉溝(3mm以下)
- プロービング時に出血がない
- 垂直的な骨欠損や歯槽骨レベルに顕著な段差がない
- 根分岐部病変がない
- 歯肉歯槽粘膜に問題がない
- 咬合が安定している
- 歯牙の動揺がコントロールされ、安定している
これに当てはまらなければ治療計画をたてる必要があり、場合によっては歯周外科治療が必要となる可能性があります。
歯周外科処置
術式選択基準
- ポケットの深さ
- 角化歯肉幅
- 審美領域
- 歯冠長
- 垂直性骨欠損
- 歯肉退縮(健全な歯面)
- 骨外科の有無
歯周外科処置の目的
- デブライドメントが確実に行えます。
・ プラーク・歯石の除去 - プラークコントロールのしやすい環境に整えます。
・ 骨の平坦化
・ 生物学的幅径の再獲得
・ 歯周ポケットの除去・減少
・ 付着歯肉の獲得 - 審美性の回復
- 歯周組織の再生
歯周病から歯を守る
歯周病から歯を守るための取り組みには様々なものがあります。
適切な歯みがき
歯みがきは毎日行いましょう。
正しい歯みがきの方法を学び、歯ブラシや歯磨き粉を使って歯垢を除去しましょう。
歯間清掃
歯間ブラシやフロスを使って歯間を清掃しましょう。
歯間にたまる歯垢や食べかすを取り除くことが重要です。
口中洗浄剤の利用
口中洗浄剤は口腔内を殺菌し、歯周病の予防に役立ちます。
バランスの取れた食事
健康的でバランスの取れた食事を摂ることで、口腔内の健康を保つことができます。
喫煙の避ける
健康タバコは歯周病のリスクを増加させるため、禁煙が重要です。
ストレスの管理
ストレスは歯周病のリスク因子となる場合があります。
リラックスする習慣やストレスを軽減する方法を採用しましょう。
定期的な歯周病治療・健診
歯周病の進行を防ぐために、定期的な歯科健診によって、歯周病の初期段階やリスクを早めに発見できます。
専門の歯科衛生士があなたのお口の状態に合わせたケアを行います。
スッキリキレイなお口になれる、歯科健診をぜひ受診してください。